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コラム「美しい日本のことば」
月影
2020年10月31日
月影(つきかげ)とは、月の影であると同時に月の光でもあります。とりわけ歌に詠まれる月影は、夜空からふりそそぐ月の光を言うのでしょう。英語ならmoonligtと、はっきり月の光とわかりますが、光の対局にある影をも光とみるのは日本人ならではでないでしょうか。法然上人もこんな歌を詠んで
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身に入む
2020年10月11日
秋の季語にある「身に入む」、「入」を「し」と読ませて「身にしむ」です。五感で受け止めた風や光、香りなどを身内で深く感じる心を「身に入む」と言い表せば、なるほどそのとおり。目に見えぬものが身内に入り込んで心身を絡め取る。その瞬間、なにかに取り憑かれたような感覚をおぼえます。それが言
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虫時雨
2020年9月27日
時の雨と書いて「しぐれ」。降ったり止んだり、時のまにまに降る雨のことを言いますが、日本人の耳にはどうやら、しきりに鳴く虫の声も雨の音に聞こえるようです。欧米人にはただの雑音としか聞こえないという虫の音。しかし私たち日本人は、古来より夏は蝉時雨といい、秋には虫時雨といいながら、虫の
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夜振火
2020年8月26日
夏の夜、川面に灯りをともすと光に吸いよせられるように魚が集まってきます。この灯火が「夜振火(よぶりび)」。古くは江戸時代からあるとされる川漁の方法のひとつで、「夜振」や「夜振の火」」とも合わせ俳句の季語にもなっています。――雨後の月誰ぞや夜ぶりの脛白き(蕪村)闇夜にともる月のよう
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草いきれ
2020年8月4日
夏草の生い茂る炎天下では、熱気ととともにむせ返るほど草が香ります。これが「草いきれ」。草も暑さでほうっと溜め息を漏らしているのでしょうか。いつだったか、山に登っている最中、登山道の刈られたばかりの草いきれにおののいたことがあります。まるで草たちの屍の上を歩いているような恐ろしさ。
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雲の鼓
2020年7月15日
雲に鼓とくれば、鬼。「風神雷神図屏風」の雷神が浮かびませんか。そのとおり、「雲の鼓(くものつづみ)」とは「雷」のこと。雲にのって現れた鬼神は、握りしめたバチで連鼓を打ち鳴らします。ドドーン、ドドーンという激しい音が聞こえてきそうですね。大地を震わせ天をつんざく轟音は、きっと神様の
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五月雨
2020年6月13日
五月の雨、「さみだれ」です。旧暦の5月、新暦では5月下旬から7月上旬にかけて降る長雨がそれ。梅雨のことを指しています。梅雨の季節に東北を旅していた松尾芭蕉も『おくのほそ道』で歌っています。――五月雨を集めて早し最上川雨を集めた川は膨れ上がり、押し出されるようにごうごうと音を立てて
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藤波
2020年5月9日
小さな紫の花房が風にたなびいている姿が波を思わせたのでしょう。藤の花が風にゆれる様子を「藤波」と言いますが、かつては藤の花そのものを「藤波」と言い、『万葉集』や『後撰和歌集』などにもたびたび歌われています。――みな底の色さえ深き松が枝に千歳をかねて咲ける藤波(『後撰和歌集』よみ人
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零れ桜
2020年4月12日
はらはらと舞い散る桜。零れ桜(こぼれざくら)です。日本人にとって、桜はもののあわれを誘う花。諸行無常の世界を瞬時に演じ見せてくれているようで、良寛さんの辞世の句が思い出されます。――散る桜残る桜も散る桜咲いては散り、散ってはまた咲く桜花。今を盛りに咲く花も、やがては零れて地に還っ
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朧月夜
2020年3月27日
「おぼおぼ」という擬態語から派生したと言われる「朧(おぼろ)」。ぼんやりと、はっきりしない様子を表しています。ぼうっと霞みがかった月が浮かぶ「朧月夜(おぼろづくよ)」は、晴ればれとした月夜とはちがい、幻想的で、夢のなかを彷徨っているような気分になりませんか。物理学者の佐治晴夫さん
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