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コラム「美しい日本のことば」
浮き橋
2022年8月29日
言葉とはふしぎなもので、使い方、語り方で、その意味も雰囲気もガラッと変わってしまいます。「浮き橋」とは、水上に筏や舟をならべて、その上に板を渡した仮の橋のことです。思い出されるのは『源氏物語』の最終巻「夢浮橋(ゆめのうきはし)」でしょう。尼になった浮舟と薫の美しくも悲しい恋の物語
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秋津
2022年8月16日
――夕やけ小やけのあかとんぼおわれて見たのはいつの日か……童謡『赤とんぼ』の歌は、日本人であれば一度は口づさんだことがあるのではないでしょうか。作者の三木露風の故郷、兵庫県たつの市は赤とんぼのふるさと。絶滅の危機に瀕している日本固有種のアキアカネを守り、増やす活動に力を入れている
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空蝉
2022年7月28日
「空蝉(うつせみ)」といえば、『源氏物語』を思い浮かべる人も多いでしょう。衣だけを残して姿を消した空蝉の女房に、光源氏が送った歌はみごとでした。――空蝉の身をかへてける木のもとになほ人がらのなつかしきかな蝉が抜け殻を残して去ってしまったあとの木の下で、もぬけの殻となった衣を残して
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潮騒
2022年7月12日
「潮が騒ぐ」と書いて「しおさい」。海水が満ちるときの、波立つ音をこういいます。英語では「thesoundofthewaves(sea)」。波や海の音をそのまま表現します。日本語は「雨脚」や「火の手」「波頭」など、自然やモノを擬人化することがよくあります。海の音は母親の体内で聞く音
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心葉
2022年6月30日
心葉とは、「心」あるいは「心ばえ」のこと。あふれる想いや感情のことです。そのむかし、人は鳥のように音をつなげた歌で意思の疎通をしていたといいます。それが、やがて意味のある言葉に変わり、会話になっていったのだとか。生きていくため、人とつながるために、心に浮かぶ想いを言葉にしたのです
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あっぱれ
2022年6月25日
時代劇や舞台劇、歴史小説などでおなじみの「あっぱれ」は、感動をひとことであらわした言葉です。「すばらしい」「おみごと」「立派だ」と、相手を称賛するときに使われます。漢字にすると「天晴(れ)」ですが、これは宛字。見事なようすを「天下晴れて第一」とみて宛てがわれました。語源は「ものの
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木下闇
2022年6月11日
まばゆい日向とは対照的な、木々の下の暗い木陰が「木下闇(このしたやみ・こしたやみ)」です。とくに夏の木立が鬱蒼と茂る、昼もなお暗い様子をこういいます。「闇」という謎めいた言葉とはうらはらに、木下闇は静寂を愛する生きものたちの楽園なのでしょう。国上山西坂の中腹、老杉に囲まれた五合庵
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やらずの雨
2022年5月30日
突然の雨は、人を急かしたり、足を止めます。ちょっとした雨なら、軒下で雨宿りもいいですね。でも、長雨や激しい雨だと、そうもいきません。その場にとどまるよう、訪れた人を引き止めるかのように降ったり止んだりと降りつづける雨が「や(遣)らずの雨」です。雨なら仕方ないと、あきらめもつく。そ
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翠雨
2022年5月16日
「翠雨(すいう)」とは、若葉どきに降る雨のこと。若葉雨や緑雨、青雨、青葉雨ともいい、まるで青々と萌えさかる若葉の熱をさますかのような雨の言葉です。呼び名ひとつで、まぶたの裏につややかに濡れた青葉がうかびませんか。雨の匂いにまぶたをひらけば、そこにも目に染みるような緑が滴っている。
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薫風
2022年5月8日
文字からも、みずみずしい若葉の香りがただよってきそうな「薫風(くんぷう)」。新緑の季節にぴったりな言葉です。春風がピンク色なら、夏の風はみどり色でしょうか。風にゆれる緑葉はまだやわらかく、運ばれてくる香りも色も若々しい青年のよう。ふと、昭和をかけぬけた奇才の詩人、寺山修司がうかび
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