泡沫
2019年3月29日
ー ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、
久しくとどまりたるためしなし。
鴨長明の『方丈記』の冒頭です。世の中を川の流れにたとえ、諸行無常のはかなさを綴っています。
よどみに浮かぶのが「泡沫」、「うたかた」です。
とうとうと流れる川は途絶えることはないけれど、その川の水は、もとの水と同じではない。川の流れのように、ものごとは時間とともに過ぎ去ってゆく。
たとえ流れが滞っていようと、ぶくぶくと生まれては消えてゆく泡のように、どんなことも、ずっと同じでありつづけるということはない。
この世はすべて生々流転。今は今でしかなく、過去には過去の、未来には未来の「今」があるだけです。
今という時間は、まるで泡のように、まばたきひとつで消えてしまいます。
はかなくも尊い「うたかた」の時間を、大切に過ごしていきたいですね。
(190329 第38回)