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コラム「美しい日本のことば」
お花畑
2023年7月1日
「お花畑」とは、かわいらしい言葉ですね。バーネットの小説『秘密の花園』のように、女の子が花畑で遊ぶ姿が浮かびます。でも、ここで取り上げる「お花畑」は、それとはちょっと違います。これは高山植物の花野のことです。夏、標高の高い山に積もった残雪が消えた後、高山植物がいっせいに花を咲かせ
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万緑
2023年5月15日
目に青葉山ほととぎす初鰹……と、思わず口づさんでしまう初夏。字面からも、なんとなく想像がつくでしょう。見わたすかぎり青々と緑が生い茂った景色が「万緑」です。実際に眺めれば、その景色を万緑とした理由がわかります。緑といっても、ひと色ではない。黄色っぽい緑、青色がかった緑、淡い緑、濃
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立振舞
2023年3月31日
美しいことば、というより、美しい所作、と言ったほうがいいでしょうか。「立振舞(たちふるまい)」、あるいは「立居振舞」。この言葉には、どうしても「美しさ」が付きまとうような気がします。それもそのはず。出どころは、能楽の心得を記した世阿弥の『風姿花伝』、「老人」の演技を記したものでし
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花くらべ
2023年3月14日
平安時代の宮廷で盛んだった和歌の歌合(うたあわせ)。その中の遊びのひとつに「花くらべ」がありました。「花合わせ」とも言い、居合わせた人たちが左右に分かれ、それぞれ持ち寄った桜の花を歌に詠んで競い合うのです。――いま桜咲きぬとみえてうす曇り春にかすめる世のけしきかな(『親古今和歌集
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雪中花
2023年1月21日
椿、山茶花、寒桜……、色のうすい冬に鮮やかな赤やピンクの花はとても似合いますが、白い冬の白い花は、またちがった清らかな美しさがあります。白い6枚の花弁に、黄色い盃をのせた水仙。雪に覆われた土のなかで、いちはやく春のぬくもりを感じとって小さな花を咲かせるこの花は、江戸時代までは「雪
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やんわり
2022年12月15日
他国語と日本語の大きなちがいといえば、漢字、カタカナ、ひらがな、ときにはローマ字と、文字の種類が多いことでしょうか。そのときどきで文字を使い分ける、世界でも稀にみる言語だと思います。とりわけ「ひらがな」と「カタカナ」は、漢字から派生した万葉仮名。日本人の心を歌った『万葉集』から生
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秋麗
2022年10月30日
うららかな秋、「秋麗」は「しゅうれい」とも読みますが、もうひとつの読み名「あきうらら」のほうが、なんとなく秋の風情を感じませんか。突きぬけるように青く晴れわたった秋晴れの空、黄金色の秋陽にかがやくとりどりの花葉。すべてのものがくっきりと輪郭を描きながらも、やわらかな陽射しにきらめ
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さわやか
2022年10月17日
さわやかな風、さわやかな青年、さわやかな味……。「さわやか」という言葉には、どこか青い、ミントの香りのような、すっきりさっぱりとした、切れ味の良さを感じます。「爽快」という言葉が示す、清々しく気もちのいいイメージ。だからなのか、「さわやか」は「若さ」の象徴のような気がします。とは
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草紅葉
2022年9月26日
真っ赤だな真っ赤だなつたの葉っぱが真っ赤だなもみじの葉っぱも真っ赤だな……童謡『真っ赤な秋』の影響でしょうか。「もみじ」と聞くと、赤く色づいた楓の葉が浮かびます。幼い頃は、これだけが「もみじ」だと思っていましたが、ちがうのですね。「もみじ」というのは「もんで色を出す」「色を揉み出
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月の雫
2022年9月14日
――月のごと大きな玉の露一つ(高浜虚子)夜空に浮かんだ満月が、大きな露玉に見えたのでしょう。露は別名「月の雫」。夜の気配の残るしっとりとした朝。草や葉のうえできらきら光る円い露は、あまりに清らかで、夜のうちに月がおとしていった雫だとしても不思議ではありません。むしろそのほうが、ぴ
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