遊び種
2019年1月23日
種にもいろいろありますが、この種ほど楽しい種はないのではないでしょうか。「遊び種」とは、遊び相手や遊びの材料のこと。このときの「種」は「くさ」と読んで「あそびぐさ」です。
木登りをしたり、木の枝でチャンバラをしたり、野の花を編んで首飾りや冠を作ったり、草で料理のまねごとをしたりと、子供たちにとって自然は遊びの宝箱。遊びの天才である子供たちは、どんなものでも遊び道具にしてしまいます。
「遊び」は「足霊(あしひ)」を語源とし、人びとの助けとなる神のところに歩いて行って祭ることに由来します。
「楽ぶ」と書いて「あそぶ」と読ませたのも、もともと「遊び」というのは、神や魂を楽しませるものだったから。楽器を使って歌や舞を踊る「神楽」がそれを表しています。
旅する僧侶を「遊行上人(ゆぎょうしょうにん)」と言うのも、もとは「あしひ」からきているようなのですが、何もせず、ただぶらぶらしているように見えたのでしょう。「遊び」の意味が少し変わってしまったのは残念です。
「子供は遊ぶのが仕事」と昔の人は言いました。子供たちの小さな心と体に宿った小さな種は、遊びのなかで育まれ、やがてそれぞれの花を咲かせます。
子供にならい、大人も楽しく遊んで、眠ったままの種を起せば、美しい花が咲くかもしれませんね。
(190123 第30回)